大理古城
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此処は桃源郷とあだ名打たれし中國の大理古城。

 白壁、瓦屋根の並びたる其の光景は、
日本の古都の姿に似たり。


怪しげなる風体の日本人旅行者、放浪の末に辿り着く。

「オオ、ここが白族の都、大理古城と云ふ処か。」

其の旅行者、古式ゆかしき城門在るを見定め、
写眞機を取り出し撮影せんとす。

城門は只今改修工事中の様子なり。

白族の娘、壱人たたずみたるを、
フアインダアの中に入れたり。

娘、気付かぬ振りをしつつも、
それを横目にて見止めているのか、
旅行者のシャッタア押し終わる迄、
そこを動く氣配なし。有り難きサアビス精神。

街には大理石の土産物店、多く並ぶ。
また、藍染めの盛んなるか、其れを白壁にズラリと並べたる由、美しき哉。

旅行者、索道に乗りて西の蒼山に登る。

大理の都、大きな陽だまりに包まれ、雲の中に浮かび上がる。
其の様子、菩薩観音の導きたる極楽浄土にも見へたり。

大理の大地は広大にして、稲作盛ん。
水田は果てしなき広がりを持つとさへ見ゆる。

 また古城の周辺、マアケット、数多く立ちたり。

 其の日には四方の村々より民族ら群集し、
衣料、農作物、細工物、牛馬、などを売買す。
「何と云ふ活氣に溢れたる様子。
民族色の豊かなるも極めて良し!!」
 

旅行者、ますますこの地に魅了されしと云ふ。

帰國に際し、彼の旅行者、再び城壁へ上がりて四方を眺望す。

西に蒼山、東に
耳海、また標高の高き土地故、天は蒼蒼として澄み渡りたり。

「ヤァヤァ、まさしく此処は桃源郷なるかな。」

其の旅行者、感慨にふけり、いつまでも天上を仰ぎ見たりと云ふ。 

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